そして家族はいなくなる。

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「絶対に入ってはいけないよ」祖母に何度も言われ続けてきた。
我が家には、決して踏み込んではならない禁断の部屋があるのだ。

「お前の父さん、母さんはあそこに行って戻ってこれなくなったんだ」
そう、いつからだろう。パパとママの姿が消えた。
「それに、近づくだけでも影響を受けるんだ。気をつけな」
確かに、あの部屋から時折恐ろしい叫び声が聞こえてくる。

ある日、ついに祖母まで姿を消した。
僕は勇気を振り絞って禁断の部屋の扉を開ける。
部屋には、パパ、ママ、祖母がいた。四角い怪物に今にも飲み込まれそうになっている。ギリギリ顔だけが出ている状態だった。三人が僕に気づく。よく来てくれた、という期待の目だ。どうやって助ければいいのだろう。

「お、ちょうどいい。ミカン持ってきてくれないか」「あ、新聞もお願い」「爪切りもね」

そう、怪物の正体は【こたつ】。足を踏みいれた者は、二度と出られない。
その他
公開:24/05/08 14:05

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです!

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