ハレの会

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街頭に今はやりの集団が立っている。「ハレの会」だ。晴れ男や晴れ女で構成されている。
気候変動によって年じゅう雨が降るようになっていたが、ハレの会が街頭に立つと雨は瞬時に止み晴れてくるのだ。
この不思議な現象を科学者が解明しようとしたができず、ハレの会は「神がかり的な奇跡の団体」と言われるようになった。当初、ハレの会をカルト宗教などと批判する者もいたが、お布施なし、晴れ男・晴れ女かの厳正な審査さえクリアすれば入退会自由だから、害悪なしということで、文化庁も宗教法人と認めた。
ハレの会は日照り神を崇め、太陽がシンボルマークとなっている。教祖は不明だが、晴れ晴れとした人物らしい。
ハレの会はその名から縁起が良いということで、さまざまなハレの日の催事にも呼ばれ、ハレ踊りを披露する。
ハレの会の教祖が結婚式を挙げたときもハレ踊りが披露され、天気雨まで降ってきて縁起が良いと祝賀ムードは最高潮に達した。
その他
公開:24/05/04 06:58
ハレ 晴れ男 晴れ女 気候変動 太陽 宗教 教祖 天気雨

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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