レジ袋がみる夢は

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レジ袋は、海のクラゲになりたいと思う。他のレジ袋に話すとさんざん笑われたが、その思いは日に日に強くなっていく。
どうすれば、海へ行くことができるか考える。けれど海がどこにあるか知っている仲間はいなかった。ある晩、レジ袋は空に浮かぶ月に尋ねた。「ねえ、海ってどこにあるの?」クラゲに似ている半分の月ならば、知っているような気がしたのだ。
月が答える。「海はここからだいぶ離れた場所にあるのさ。この川が海へつながっているよ」
レジ袋は、仲間に別れを告げると川へと飛び込んだ。
レジ袋は、海に着いた。その頃にはボロボロになっていたが、「僕はクラゲになれたんだ」クラゲの中に混じってぷかぷか浮かんで幸せだった。

だれかが、レジ袋を海から拾い上げた。漁師だった。「プラスチックごみは、ホント迷惑だ」
破れたレジ袋にはすでに意識がなかった。真実を知らなくて幸せだったのかもしれない。
ファンタジー
公開:24/05/04 11:00
更新:24/05/04 18:11

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです!

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