友情のシャボン玉

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ベランダで洗濯物を取りこんでいると、目の前にシャボン玉が飛んできた。向かいの家からだった。指でつつく。「あーあ、明日学校に行きたくないな」割れたシャボン玉から声がした。次々とシャボン玉を割る。「健太とは絶好だなんて、どうして言っちゃったんだろう」「きっと怒ってるよなあ」「ずる休みしようかなあ」
これは、あの家の俊介君の心の声、そして健太は私の息子。二人は保育園の頃からの親友だった。帰ってから元気がないと思ったら、喧嘩をしたのか。
私も小さなことで友達と喧嘩をして、そのまま疎遠になったことがあった。
「健太、ちょっとおいで」息子を呼ぶ。
「このシャボン玉、割ってみて」息子がシャボン玉をつつく。「明日、健太に謝ろう」「許してくれるまで、何度でも」
健太の顔に笑顔が戻る。「ママ、ちょっと俊介の家に行ってくるね」

数分後、飛んできた二つのシャボン玉を割る。
「僕たち、ずっと友達でいような」
青春
公開:24/05/05 21:00
更新:24/05/05 17:23

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです。最近では、54字の物語を書くことにもハマっています。

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