窓際の席で二人

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「ええと…あなたここまではどうやって?」
「それがなにも覚えていないんです。ここにいる前の記憶全てがぽっかりと抜けてしまったようで」
「記憶喪失…でしょうか?」
「かもしれません。けど名前は覚えてますよ。たしか鈴という字に難しい方の華がついていたはずです」
「…りんかですか?」
「えっと、…はい多分そうです。りんかであってると思います」
「ならりんかさんとお呼びしますね」
「ご自由にどうぞ」
夜風が強くなってきたので私は窓を閉める。
「寒かったですか?」
「ああ、お気になさらずに。少し風が強かっただけです」
「そうですか…。そういえばお名前聞いていいですか?」
「あれ、思えば名乗っていなかったですね。私はゆうきといいます。漢字はええと…書きましょうか?」
「いえ、多分大丈夫です」
「そうですか」
私達はそこから他愛もない会話を続けた。趣味がなんだとか何歳だとか。
時間を無視するかのように。
その他
公開:24/05/05 10:55

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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