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「人生には三つの坂があります。上り坂、下り坂、まさかの坂。新郎新婦は力を合わせて三つの坂を乗り越えて下さい」友人の子息の結婚披露宴に招かれ陳腐な常套句ながら祝辞を述べて拍手をもらった。宴はお開き、会場を出たところで見知らぬ男の挨拶を受けた。
「どなた?」
「はじめまして。私は貴方の息子なんです」
「まさか。息子はいないよ。娘だけ」
「お若い時のことを忘れましたか?私の母は貴方に弄ばれて棄てられた。でも私を産んでいたんですよ」
「まさか。息子にしては歳が違いすぎる。君は私と同年代じゃありませんか」
「そのようですね。実は本日お会いしたのは奥様の代理人としてです」
「妻の?」
「離婚の件です」
「まさか。そんな話はないよ」
「本当です。奥様はずっと貴方と別れたくて悩んでいらっしゃいました。代理人として離婚交渉をさせていただきます」
「まさか」
差し出された名刺を見る。「弁護士 真坂とおる」。
「どなた?」
「はじめまして。私は貴方の息子なんです」
「まさか。息子はいないよ。娘だけ」
「お若い時のことを忘れましたか?私の母は貴方に弄ばれて棄てられた。でも私を産んでいたんですよ」
「まさか。息子にしては歳が違いすぎる。君は私と同年代じゃありませんか」
「そのようですね。実は本日お会いしたのは奥様の代理人としてです」
「妻の?」
「離婚の件です」
「まさか。そんな話はないよ」
「本当です。奥様はずっと貴方と別れたくて悩んでいらっしゃいました。代理人として離婚交渉をさせていただきます」
「まさか」
差し出された名刺を見る。「弁護士 真坂とおる」。
その他
公開:24/05/01 16:15
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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