スマホ

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 電源の消されたスマホが、机の上に置かれている。
 黒い画面の奥で、何かが蠢ているような気がする。
 スマホは父のものだ。もう一ヶ月近くも行方不明で、家族も大分疲れてしまっている。
 父がどうして消えたのかは分からない。スマホが残されているのも不可解だった。
 捜索願いは出ているが、警察からは全く連絡がない。
 黒い画面をジィッと見ていると、それがとぐろを巻いた蛇だと分かる。とても大きくて、腹が異様に膨らんでいるように思えた。
 あのスマホには、蛇の画像しか入ってないから。
父が消えた直後の母の言葉が蘇り、慌てて視線をスマホから外す。
ホラー
公開:24/05/01 08:17
300字小説

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