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辺りはいっせいに緑を深め、初夏の装いを始めている。この季節の楽しみのひとつは、ちいさなティーパーティをひらくこと。私は倉庫から鉄製のテーブルをだしてきて庭の真ん中においた。レモン色のパラソルをさしたら開店準備終了。あとはお客様がやってくるのを待つだけ。
積みためていた本の山から、フィーリングで選んだ本を抱えて外へでる。そのあいだにさっそく最初のお客様が訪れていた。
「こんにちは。お茶はいかがですか?」
「今日は遠慮しておくわ。ところで今度、髪結いを始めるの。最初のお客様になってくださる?」
「あら、素敵ですね。ではお願いします」
本をテーブルのうえに並べて椅子に腰かける。すると彼女は私の髪をきれいに編み込み、色とりどりの花をあしらった。
「魔法をかけておいたわ。だからもう泣かないでね」
美しい羽を広げて飛びたつ彼女を見送りながら、失った恋の傷を過去のものとして受け入れることにした。
積みためていた本の山から、フィーリングで選んだ本を抱えて外へでる。そのあいだにさっそく最初のお客様が訪れていた。
「こんにちは。お茶はいかがですか?」
「今日は遠慮しておくわ。ところで今度、髪結いを始めるの。最初のお客様になってくださる?」
「あら、素敵ですね。ではお願いします」
本をテーブルのうえに並べて椅子に腰かける。すると彼女は私の髪をきれいに編み込み、色とりどりの花をあしらった。
「魔法をかけておいたわ。だからもう泣かないでね」
美しい羽を広げて飛びたつ彼女を見送りながら、失った恋の傷を過去のものとして受け入れることにした。
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公開:24/05/03 10:18
更新:24/05/03 11:12
更新:24/05/03 11:12
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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