空がおめかしする季節

あぁ、今日の空の肌は透き通るような青色だ。

もうすぐ田植えが始まる。お散歩中の私を取り囲む田んぼには薄く水が張られ、爽やかな風に撫でられるとくすぐったそうに笑う。震わすその身に眩しく光る初夏の空を写し出していて、今年も田んぼの真上の空のお洒落する季節がやってきたのだなぁ…と気づかされる。
少し立ち止まり、リュックから取り出した水筒の麦茶で喉を潤しながら空を見上げる。田んぼの水鏡を見つめる空は、りぼん型の白雲の位置を微調整したり目元をより煌めかせる為に陽光のアイシャドーを重ね塗りしたり、そのおめかしに抜かりはない。
海や湖、川以外の上に広がる空にとって自分の姿を写し出せる機会は滅多にない。だから、大きな水鏡の生まれる田植えの季節は目一杯お洒落を楽しみたいのだ。
自信に満ちた表情で田んぼの水鏡に写る自分に惚れ惚れする空へ、畦道に咲く野花達が体を揺らして喝采を送る。

長閑で私の大好きな風景。