夢枕に立つ

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某寝具メーカーから『夢枕』が発売された。
快適な睡眠とともに、寝ながらエンターテイメントを。
恋愛、冒険、ファンタジー、昔話といろんな夢が自在に見ることができる。

私も『夢枕』を購入した。
王子様と幸せな結婚。
龍の背中に乗って冒険の旅。
ウサギを追いかけて不思議な世界へ。
夢の最後は必ずハッピーエンド。幸せな気持ちで朝を迎える。

ところが、困った状況になってきた。
『夢枕』という言葉に引き寄せられ、ご先祖様達が『夢枕に立つ』ようになったのだ。
たまにだったら、ご先祖様のお告げもありがたいかもしれない。
ご先祖様が枕の周りで宴会をはじめたり、勝手に夢に登場したりする。
当然、枕は製造中止になり、私も枕を押入れの奥にしまった。

捨てなくて良かった。私がそう思ったのは百年後。
押入れから『夢枕』を見つけた私の子孫が枕を使用。
私も夢枕に立った。なつかしい祖父母や両親と一緒に。
ファンタジー
公開:24/04/24 08:28

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです。最近では、54字の物語を書くことにもハマっています。

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