特殊能力
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僕には特殊能力がある。相手の掌に触れると、どういう人間か分かるのだ。信用できる人、芸術家肌、天才、詐欺師、変人…。まあ、大半は色々な要素が少しずつ混ざった「凡人」だが。
だから仕事でもプライベートでも、まずは相手と握手をする。そこで相手がどういう人間なのかを判断し、付き合い方を考える。これまでそうやって上手くやってきた。もちろん失敗はない。
「初めまして。宜しくお願いします」
今回の商談も握手から始める。だが何かおかしい。握手しても何も掴めないのだ。こんなヌルリとした感触、これまで経験したことがない。
平静を装い相手の顔をチラ見すると、相手も動揺しているのが分かった。この相手、まさか同類なのか?!
同類だから読めないのか。それとも…僕らは特殊能力頼みで自分の判断基準を持たないまま、読むべき中身を失ったのか。だとしたら、もう僕らは特殊能力の容れ物に過ぎない。
僕は一体、誰なんだろう。
だから仕事でもプライベートでも、まずは相手と握手をする。そこで相手がどういう人間なのかを判断し、付き合い方を考える。これまでそうやって上手くやってきた。もちろん失敗はない。
「初めまして。宜しくお願いします」
今回の商談も握手から始める。だが何かおかしい。握手しても何も掴めないのだ。こんなヌルリとした感触、これまで経験したことがない。
平静を装い相手の顔をチラ見すると、相手も動揺しているのが分かった。この相手、まさか同類なのか?!
同類だから読めないのか。それとも…僕らは特殊能力頼みで自分の判断基準を持たないまま、読むべき中身を失ったのか。だとしたら、もう僕らは特殊能力の容れ物に過ぎない。
僕は一体、誰なんだろう。
ホラー
公開:24/04/22 22:16
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