青の画用紙

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校内一斉の写生時間。
みんな連れだって教室を出ていく。誰にも声をかけられない私は教室に残る。
数週間前、突然誰からも声をかけられなくなった。
私は、ひとりで屋上へ向かう。

コンクリの上にハンカチを敷く。体育座りになり顔をうずめる。
悲しいけど涙はでない。
ふと顔を上げると斜め前に人が立っていた。足音に気がつかなかった。

その人は真っ白な筆先を空に向かって動かしている。
「何しているの」
「空に絵を描いている」
空には、複数の飛行機雲があった。彼はそれに合わせて、すっと筆を動かす。
「上手だね」
「空が僕の画用紙なんだ」彼がふり向く。きれいな顔立ち。
どこかで見たことがある、どこだろう。

その時、名前を呼ばれた。部活の先輩だった。部活の連絡事項を頼まれる。

戻ってみると、彼はいなくなっていた。
空を見上げる。
空には、笑顔マークが描かれている。

空から白い羽がひらひら落ちてきた。
ファンタジー
公開:24/04/26 18:00

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです。最近では、54字の物語を書くことにもハマっています。

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