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19歳の夏、男3人で山里の丘へ獅子座流星群を見に行った。僕以外の二人は、たくさん願い事をするのだと張り切っていた。僕は願い事は一つだけにしようと決めていた。星が次々と降り始め、僕はたった一つの願い事を繰り返した。「彼女ができますように」と。

願い事は叶った。まもなく偶然知り合った星羅という名の年上の女性と恋に落ちた。優しく美しい人だった。薔薇色の毎日、僕は幸せだった。ただ、彼女はなぜか夜しか会ってくれない。他につき合っている人がいるのではないかと疑い、嫉妬した。ある晩、彼女のあとをこっそりつけ、僕は彼女の秘密を知ってしまった。朝になると、彼女は老婆の姿に変わった。驚く僕に、彼女は語り始めた。自分は天界の魔女で間違ってこの星へ降りてしまい、夜の間だけ若い女性の姿になれるのだと。次の流星群の時に天界へ戻ると。そして「これまでありがとう。本当に幸せだった」と言うと、彼女は僕の前から姿を消した。
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公開:24/04/24 23:18
更新:24/04/25 01:10

ジャスミンティー

2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。

最近noteへの投稿も始めました。よろしかったら、そちらもご覧ください。エッセイ、短歌なども載せています。https://note.com/real_condor254 
 

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