猫のきぐるみ

4
5

遊園地の中には猫のきぐるみがいて、私は憧れのその子とすぐ仲良くなった。
「木馬に乗ろう。次はコースター」
きぐるみと私はあらゆるアトラクションを回り、やがてお腹ペコペコになって、高台のレストランに移動した。
「私、ここのホットケーキ食べてみたかったの。クリームソーダも。ポテトも頼もう」
猫のきぐるみは注文を終えると、運ばれてきたソーダをまるい手で持ち上げた。口ひげの下に小さな穴が空いていて、そこにストローを差して飲んでいる。
「私、ずっと友達が欲しかった。これから一緒にいてくれる?」
「でも、お父さんもお母さんも心配するだろうし、そろそろいかないと」
私が言うと、きぐるみはうーんと考えた。
「じゃあ、私があなたの代わりにいくよ」
私たちはトイレで服を交換した。彼女は私になり、私は猫のきぐるみになった。
「これでOK。楽しんでね」
私は重たい頭を揺らしながら、次に来る私を今日も待っている。
ファンタジー
公開:24/04/21 22:01
更新:24/04/21 22:14

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容