お酒も仕事の一環です

俺の憧れている先輩刑事は型破りなやり方で犯人を追い詰める。
「お互い腹を割って話そうや」
そう言って取り出すは２つのお猪口とお酒の入った徳利。
先輩は取り調べに酒を使う。当然、こんな事は普通なら許されない。だが先輩は別だ。
先輩は酒を飲ませる事で容疑者から事件解決のヒントを引き出す。
「緒（いとぐち）と猪（いのしし）。この二つは繋がっている。大事なのは酒じゃない。お猪口の方だ。これで酒を飲むと口の滑りが良くなる」
とんでもない理論だが、先輩が言うのなら本当なのだろう。
その理論を使えば、政治家の裏金問題も解決できそうだと思う。
「…過去にある議員に対してやった事がある。『Aさんに貰ったお金！』って簡単に口を滑らせたぞ」
Aさんって…警察にも影響力のある超大物じゃないですか！？それ、超ヤバいんじゃないですか？
「おっと、俺も口が滑っちまったようだ。やっぱり仕事中に酒なんて飲むものじゃないな」