意味と、感覚

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「いらっしゃいませ」
「おや、マスター、その帽子は」
「ええ。この間、街の名が入った服が楽しいというお話を聞いたので」
「うん」
「街の名がある“シール・ビーチ カリフォルニア”の、このキャップをかぶって歩いてみたんです」
「そうなんだ」
「そしたら、道行く子どもに“おのぼりさん”と言われました」
「あはは。マスターが、なんとなくウキウキ、ソワソワしてるのが、そう映ったのかな」

「でしょうね。ことばや名前は“意味”ですが、子どもは感覚で、ものを言いますからね」
「ふうん。意味と感性の、二者択一、というところかな」
「いや、そんな素敵なものじゃないです。ただ私が、似合わないダサいファッションだったんです」

「いやいや。でも服や帽子の言葉や文字を、気に入って身につけてても、人は色合いやデザインに目が行ったりするんだね」
「そうですね」
「ファッションの楽しさも、色々だよね」
「本当ですね」
その他
公開:24/04/21 20:40
喫茶店

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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