ゆっくり遊園地

「ここの遊園地、乗り物の速度がゆっくりだね」
「安全でいいじゃない。無料遊園地だから多少の事は我慢しないとね」
「お母さん、一緒に来たお父さんは？」
「労働」
労働って…仕事に行ったて言えばいいのに。
「アレ乗ってみたら？ジェットコースター。ゆっくりで進むなんて、高い所スリル満点なんじゃないの」
それもそうだな。
「乗ってくる！」

カタカタカタカタ

ゆっくり進むジェットコースター。
予想以上に怖い。
あー、早く進んで落ちてくれー。

「…よっこいしょ」

声が聞こえる。
僕しかこのコースターに乗ってないのに。

「あーしんどいなぁー、子供だけしか乗せない言ってたけど本当なのかよ」
お父さんの声だ！
「お父さん！どこ？」
「あっ、武が乗ってたのか！ここだよエンジン！開けてみろ！」

そこには、小さくなったお父さんが動力になる自転車を必死に漕いでいた。

「楽しめよ。お父さん頑張るから！」