天国と地獄
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彼から一緒に「幽園地」に行かないかと誘われた。
三途の川を渡り黄泉の国に来たものの、お一人様はやっぱり寂しくて。
そんな時、魂活アプリで知り合ったのが彼だった。このアプリのおかげで結婚した夫婦が天上でもかなりいるらしい。
入園後、「まずはお化け屋敷だね」と彼が言った。
思えばお互いのプロフィール欄に、超怖いもの好き、と書かれていたのが出会いのきっかけだった。
「うん」と私は頷いた。
お化け屋敷に入ると、私は彼の肘にしがみつき暗闇を進んだ。
「仕方がないよ。僕らは死んでるんだから」
「そうね」
結果的に言うと、お化け屋敷は怖くもなんともなかった。
死んで暑いも寒いも感じない私たちは、手に汗を握ったり背筋が凍る思いをしたりすることもなくなってしまった。
「実を言うと、僕は魂活詐欺師なんだ」
「そんな」
「すまない、僕だけ地獄行きだ」
「そんなのずるい」と私は彼の心臓にナイフを突き刺した。
三途の川を渡り黄泉の国に来たものの、お一人様はやっぱり寂しくて。
そんな時、魂活アプリで知り合ったのが彼だった。このアプリのおかげで結婚した夫婦が天上でもかなりいるらしい。
入園後、「まずはお化け屋敷だね」と彼が言った。
思えばお互いのプロフィール欄に、超怖いもの好き、と書かれていたのが出会いのきっかけだった。
「うん」と私は頷いた。
お化け屋敷に入ると、私は彼の肘にしがみつき暗闇を進んだ。
「仕方がないよ。僕らは死んでるんだから」
「そうね」
結果的に言うと、お化け屋敷は怖くもなんともなかった。
死んで暑いも寒いも感じない私たちは、手に汗を握ったり背筋が凍る思いをしたりすることもなくなってしまった。
「実を言うと、僕は魂活詐欺師なんだ」
「そんな」
「すまない、僕だけ地獄行きだ」
「そんなのずるい」と私は彼の心臓にナイフを突き刺した。
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公開:24/04/21 23:58
元・松山帖句です。
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