遊園地化する

2
3

学校から帰宅すると、妹が血相を変えてやってきた。「お兄ちゃん!大変よ!」手にしていたのは赤い紙。黒字で「遊園地化」と書かれている。「まさか!」僕は急いで部屋の中へ入った。リビングでは椅子がコーヒーカップに代わり、父がクルクルと回っている。「サトシ!目が回りそうだ!助けてくれ」「ええ!」トイレを開けると、猫も便座とともにクルクルと回っている。
そこへ二階から急流すべりで母が水飛沫を浴びながら降りてきた。ザブ~ン!「サトシ!一体どうなっちゃってるの!?」「僕が聞きたいぐらいだ・・・」「お兄ちゃん!このままだとうちが遊園地化しちゃう」妹は今にも泣き出しそうだ。「大丈夫だ。きっと元に戻るから」
僕の言う通り、一週間もすれば我が家は元に戻った。ある日の夜、隣の家から夫婦の叫び声が聞こえてきた。急いで駆けつけると、二階からジェットコースターで婦人が降りてきた。「どうやら遊園地化したみたい」。
その他
公開:24/04/21 23:49

ならのゆか

奈良県出身、神奈川県在住の放送作家です。趣味で投稿始めました。ブラックユーモアが好きです。宜しくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容