サバランド

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ジェットコースターの先頭に彼女と二人で座り、もうすぐ頂上という時だった。カランカランと景気のよいベルの音が僕の腹を鳴らした。

『おめでとうございます! 昨晩のサバに当たりました!」

は?

彼女と顔を見合わせたのも束の間、ジェットコースターの顔が巨大なサバの顔になると、サバは縦横無尽に空を泳ぎだした。

その後の僕らは必死だった。僕はふっとばされないように背びれにしがみついていたが、飛ばされた後ろの客は別のサバに咥えられ、空を回遊していた。

いつしか遊園地中の乗り物がサバとなり、巨大な魚群を作ると、南の空を進みだした。

ーーカランカラン

誰かの腹が鳴ると、次はマグロの群れが現れた。マグロがサバの群れを引き裂くと、僕のサバは慌てて逃げ出した。

ーー彼女は無事か

混乱の中、彼女を探すと彼女はマグロに乗っていた。

マグロとサバ。逃げる僕と追う彼女。愛の逃避行の火蓋が今、切られた。
ファンタジー
公開:24/04/21 23:31

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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