ハラスメント

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 部屋で待っていると扉が開いて二人組が入ってきた。こちらを見たが、何も言わずに椅子に座った。思わずため息が出た。「おいおい。何の挨拶もなしか?これだから最近の若い奴は…」
 延々と説教を続けていると、「まもなく頂上です」とアナウンスが入った。「ほら、もう昼飯の時間だ。俺もな説教なんかしたくないんだよ、だけどなお前らのためを思ってな…」ふと二人を見るとニヤニヤ笑っていたので、さらに言葉に力が入ってしまう。
 「ほらもうこんな時間だ。荷物をまとめて降りる準備をしろ」すぐにゴンドラの扉が開き、楽しそうに出ていく異星人たちを見送った。
 隣のゴンドラは煙草の煙が充満している。その次は無理やり酒を飲ませようとしてくる。様々なハラスメントを体験できる観覧車なのだが、何が楽しいのか地球人の私にはさっぱり理解できない。シフトの終わりまでの時間と、窓の外の異星人の行列を見て、長いため息が口から出て行った。
ファンタジー
公開:24/04/21 23:23

たかきだ ほむら( 夜と昼のあわいに )

べんきょうちゅう。

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