シンギュラリティーの先に

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今日は1つでも多くアトラクションに乗るため開園前から並び、攻略本を手に遊助と一緒に走り回っている。コースターの列では、花ちゃん達と一緒になった。花ちゃんは遊助より2つ年上だけれど、よく一緒に遊んでくれて助かっている。

「遊君、もうコースターに乗れるの⁉」
「きちんと楽しめてるのか分からないけどね」
「7歳でしょ。乗れるだけですごいよ」
「でも、おばけ屋敷は苦手。すぐ泣いちゃうの」
「あれは苦手な子が多いよね。配点低いから良いんじゃない。それより迷路はしっかりやった方が良いよ。必ず試験に出るから」

花ちゃんママは色々教えてくれるので有難い。受験は情報戦だ。良い学校に入り、AIに代替されない立派な遊び人になるためには、子供の頃から効率よく遊ばないといけない。そのために高い家庭教師を付け、今日も早朝から遊園地にきているのだ。

でも、ふと横を見ると、遊びに飽きた遊助がこっそり勉強をしていた…
その他
公開:24/04/20 21:14

尻野ベロ彦( 東京 )

3児を都内のインターナショナルスクールに通わすサラリーマン。
子どもの頃「将来の夢は小説家」と言っていました。
「note」にも、細々と500字程度のショートショートを書いています。
https://note.com/sirino

【トピックス】
・第16回「1ページの絵本」入選
・第20回「坊っちゃん文学賞」佳作

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