女神がくれた罰

私は噓つきだ。
お見舞いに来る家族や友人に笑顔で「平気」や「大丈夫」と答える。
平気なら入院していない。大丈夫なら退院している。
辛い。苦しい。しんどい。でもそれを口にすれば、家族や友人に心配をかけてしまう。
だから私は嘘をつく。
そんな私の前に女神が現れた。
『私はピノキオに命を与えた女神。私は貴方の言動に怒りを感じています。嘘ばかりつく貴方には、ピノキオに与えたものと類似した罰を与えます』
ピノキオと同じ…嘘をつくと鼻が伸びるって奴か。
『その通り。これから貴方は嘘をつく度に少しずつ寿命が伸びます。伸びた寿命は元には戻りません。良いですか。辛いでしょうけど、闘病生活を頑張りなさい。そうすれば必ず治りますからね』

大人になるまで生きられないと言われた私だが、嘘をつき続けたおかげで長い闘病生活に終止符を打つ日が来た。
医者はそれを「奇跡」と呼んだ。
私はそれを「奇跡ではない」と答えた。