形状記憶おじさん

2
3

昨今はどの業界でも人手不足に悩まされている。人口減少に伴うものだが、このままでは企業の倒産軒数は増える一方、国の経済危機に陥ること間違いなし。そこで即時労働力となるアンドロイドロボットの開発があちこちで進められた。
最も素晴らしいロボットを作った企業には報奨金が出ることになっている。開発担当の私は、一週間前に完成して総務に配属された悲願の初号機『形状記憶おじさん』の様子伺いにやってきた。
「総務部長、彼はどうですか?」
「ええ、とてもよく働いてくださっていますよ。知識は豊富ですし協調性もあります」
思惑通りである。しかし総務部長は表情を曇らせて続けた。
「ただ説教が始まると小一時間は止まらないのが問題です」
「それは改善が必要ですね。すぐにプログラミングの修正に入ります」
私は深刻な口調で総務を出ると別室に入り、本来の所属企業に「アトラス社の初号機難アリ」と連絡を入れた。
SF
公開:24/04/21 09:00
更新:24/04/21 08:41

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容