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「ご一緒していいですか」
僕のゴンドラに彼女が乗り込んだ時、僕達の運命も回り始めた。
「もう一周いかがですか」
瞬く間の一周が過ぎ、開いたドアを遮って僕は言った。
彼女が微笑んでドアを閉じた。二周が過ぎてもドアは開かず、ゴンドラのシートは三つ埋まっていた。
五周目を迎える頃、満席のゴンドラは少し窮屈だった。
ゴンドラが地上へ戻る度、子供達は外へ出て遊んだ。学校の友達や恋人を連れて来る事もあった。二周に一度、三周に一度と、成長に従い間隔が空いた。
「君は降りないの?」
子供達が各々のゴンドラへ巣立ったある時、僕が尋ねると、
「貴方と一緒なら」
最初の一周の顔で彼女は微笑んだ。
それきり僕達は、また広くなったゴンドラで周回を続けた。
これで何周目だろう。擦り切れたシートで皴だらけの手を繋ぐ。
「幸せな周年だったね」
「貴方と一緒でしたから」
ドアの錆びたゴンドラがゆっくり回転を止めた。
僕のゴンドラに彼女が乗り込んだ時、僕達の運命も回り始めた。
「もう一周いかがですか」
瞬く間の一周が過ぎ、開いたドアを遮って僕は言った。
彼女が微笑んでドアを閉じた。二周が過ぎてもドアは開かず、ゴンドラのシートは三つ埋まっていた。
五周目を迎える頃、満席のゴンドラは少し窮屈だった。
ゴンドラが地上へ戻る度、子供達は外へ出て遊んだ。学校の友達や恋人を連れて来る事もあった。二周に一度、三周に一度と、成長に従い間隔が空いた。
「君は降りないの?」
子供達が各々のゴンドラへ巣立ったある時、僕が尋ねると、
「貴方と一緒なら」
最初の一周の顔で彼女は微笑んだ。
それきり僕達は、また広くなったゴンドラで周回を続けた。
これで何周目だろう。擦り切れたシートで皴だらけの手を繋ぐ。
「幸せな周年だったね」
「貴方と一緒でしたから」
ドアの錆びたゴンドラがゆっくり回転を止めた。
その他
公開:24/04/20 17:21
プチコン5~遊園地
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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