遊園地怪談

　私の通う遊園地の怪談を紹介する。

　無賃乗車。
　かつて事故を起こしたジェットコースターは、園内を回遊する列車へと改造された。事故で亡くなった乗客たちが、時折勝手に乗車してくる。緩やかな運転なのに、皆一様に強張った表情で血の気がない。

　怖すぎるお化け屋敷。
　出口から怯えた顔で駆け出してくる客は半透明である。怖がり過ぎて身体を屋敷の中に忘れてきたのだ。

　復活する観覧車。
　強すぎる恋心ゆえに、観覧車を爆破した女子高生がいた。撤去されたはずが、時折復活していることがある。ゴンドラの中には、観覧車を一周する間に小説を書き上げるのを日課にしていた男子高校生が、原稿用紙を広げているのが見える。

　急降下するジェットコースター。
　平坦な道を走っているはずの元ジェットコースター車両が、突如奈落の底へ急降下を始めることがある。行き先は地獄である。観覧車を爆破した罪が私を待ち受けている。