キグルミ

　僕がバイトをしている遊園地には「幽霊が出る」という、噂がある。
　本当かなぁ？　もう長い事ここで働いているけれど、僕は会ったことないなぁ。
「ウサギさーん。風船ちょうだい」
　小さな女の子に話しかけられて僕は風船を渡す。
　他にも一緒に写真とったり、ハグしたり。掃除したり……冬はまだいいけれど、夏のキグルミの中は暑くって。本当に倒れそうなほど忙しくてクラクラになるんだ。　
　だからまぁ、他の場所を回る時間も無いし会えないのも仕方ないか。

「おーい。西エリアの着ぐるみ担当の人たち〜。そろそろ休憩とって！」

「「「「はーい」」」」

じゃあ、点呼「いち」「に」「さん」「し」！

エリア長は思った。
「やっぱりこのエリアの着ぐるみはいつも一人多いな……」