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「先輩は寿司で言ったらマグロですよね。俺なんかコーンマヨですよ。」
行きつけの回転寿司屋で悪態をつく。
「お前は寿司の気持ちになったことあるのか?」

まただ、意味不明な事も、いい事を言ってる様にきこえる。

気まずさを消そうとあがりを口に運ぶ。湯気が視界を覆い、気づくと俺は皿の上にいた。

くるくると廻るコーンマヨ。
前には窮屈そうに並ぶマグロの団体。さらさら前髪の先輩を見つけるのも一苦労だ。
「そうか、人気者も大変なんだ」

すると、目の前の子供が叫んだ。
「あ!私これ好き!」
そう言って俺の方に手を伸ばしてきた。
「こんな俺を好きって言ってくれる人がいるんだ・・」
涙で視界が歪み、気づくとカウンターにいた。

「先輩、俺が間違ってました。」
奢ってくれた先輩に丁寧にお礼を言った。
「2軒目いきましょう!」
振り返ると、先輩が見知らぬ女性と楽しそうに話していた。
いいなあ、まぐろ。
ファンタジー
公開:24/04/21 14:03
更新:24/05/15 01:17

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。


名作文学の朗読Youtubeを行っています。
http://www.youtube.com/@akky_roudoku

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