夜空の遊園地

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私は遊園地の夜間整備員だ。
今日はアトラクション「ロケットGO!」の整備だ。中央の柱から10本のアームが伸びて、それぞれロケット型のライドが接続されている。旋回しながらアームが上下して、浮遊感があり人気だったが、今は使用禁止だ。
その夜、ロケットの近くの茂みがガサガサ動いた。
「おじさん!どうしてロケットはいつも乗れないの?」
ここから入れると知っている近所の少年だ。
「危ないんだよ」
「お願い、ちょっとだけ乗せてよ」
ロケットは試運転中だ。
「少しだけだぞ」
ライドを停めて、少年を乗せてやる。
「わーい」少年は大喜びしてレバーでアームを上下させた。
「動かすな!」と叫んだが遅かった。
少年の乗ったライドはアームからはずれ、遠い空に飛んでいった。
しばらく空を見ていたが、ライドは落ちてこなかった。
「彼で15人目か。空の上で、みんなに会えるかな」
私は新しいライドを取りに、倉庫へ向かった。
ファンタジー
公開:24/04/21 13:50
#遊園地

kao

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