ほのぼの遊園地

「久しぶりの遊園地で太郎も大喜びだな」
「ほんと、いつもよりずっとはしゃいでるわね」

親子三人で近くの遊園地にやって来た家族が微笑んでいる。太郎は、元気一杯の幼稚園に通う男の子でまだ五歳だ。面白そうな乗り物を見つけ駆け足で近寄っていくと、乗りたいという意思表示。

「ねぇ、ママ。次これに乗っていい？」

元気一杯ではあるが、必ず許可を求めるところがまだまだかわいい。後ろからついて来ているママが「いいわよ」と返すと、太郎は満面の笑みでメリーゴーランドの馬を目指した。どうやら気に入った馬を見つけたようで、勢いよくまたがって着座。
途端に太郎の顔が曇る。メリーゴーランドはそんなことにお構いなく動き始めた。上下しながら回り出したメリーゴーランド。太郎は今にも泣きそうな顔で必死にハンドルを掴んでいる。

太郎が乗った馬のお尻のところには「故障中」の張り紙。ママとパパは苦笑いしながら太郎を見守った。