初めての遊園地

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「あのう、初めてなんですがオススメな乗り物とかありますか?」
「カップルならコーヒーカップとかどうだい?」
「いや断然観覧車でしょ! てっぺんで、ね! ほら! やだぁ!」
「いーや!ジェットコースターだよ! 吊橋効果って奴?」

みんな好き勝手言って結局何に乗ればいいのやら。
「あの、カップルじゃないんです」
「なんだい、お1人様かい!」
「とっとと店じまいだ! コノヤロー!」
僕が1人だと知ると、急に手のひらを返す乗り物達。
「兄ちゃん、遊園地はね、カップルで来るのが昔から相場でね、あんたも早いとこいい人探しな!」

僕は頭に来て、思い切って意中のあの子に告白を試みた。なんと返事はOK!

そして彼女とあの遊園地へ。

「閉園だって」
悲しそうな彼女の顔。
だけど僕は分かった。今際の際の乗り物達が、僕に勇気をくれた事を!金網の隙間から僕は「ありがとう」、そう呟いた。
青春
公開:24/04/19 04:21

Kaji

作家を目指すしがない中年サラリーマンです。ショートショートはとても苦手なので敢えてこちらで挑戦しようと登録しました!
よろしくお願いします

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