妖の

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狛犬は叫んだ。山中に此の知らせが行き届くように。

九尾は火を灯した。其の炎が向かう者の道しるべとなるように。

鴉天狗は見回った。向かう途中で万一道に迷う者が居ないように。

小豆洗いと河童は用意をした。皆がたらふく飯を食べられるように。


今宵開かれるのは妖の宴だ。夜の帳がおり妖怪が覇者となる宵の時間、年に一度だけ開かれる、昏く、美しい宴。

皆が、やって来た。
酒豪で有名な酒吞童子は八斗ある上等な酒を担いで、ケタケタ笑う餓者髑髏は骨で出来た楽器を携えて。集う全ての妖怪が、一つ手土産を持っている。

虚空太鼓が鳴り響き、開始を告げる。

吞んで、食べて。酔って、騒いで。年に一度の大宴会だ。大いに楽しもうではないか。
ファンタジー
公開:24/04/18 23:06
更新:24/04/19 19:27
ファンタジー 妖怪

ちむ( 愛媛県 )

文を書くことにハマり、最近活動を始めたひよっこ高校生です。お手柔らかにお願いします。最近コメント返せてなくてすみません、、、時間のある時に少しずつ返していきますのでゆっくり待っていてください!

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