お自動さま

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友人から、実家の寺が明日にも廃業しそうだと相談された。電車もバスも通らない農村にあるため、経営難に陥っているらしい。俺はヒット商品が一つもない発明家だが、急にアイディアの神が降りてきた。三日寝ずに作業して完成したのが、見た目はお地蔵様の姿をしたロボットだ。さっそく友人を呼び出してお披露目した。
「賽銭箱に賽銭を入れてもらうと、お礼を言って小躍りしたり背中から後光が射すんだ」
「物珍しくはあるけれど、これで人が集まるだろうか」
俺はムッとして答えた。
「それならもっと派手な動作ができるように改良する。宅配で送るから田舎で待っててくれ」
急ピッチでバージョンアップさせて友人に送付したが、二日後、残念な連絡が来た。
「こんなにうら寂しいところになんか住めないと言って、旅に出てしまったんだよ」
大量の寺の備品とともにネットオークションに出品されていることを気づいてはいたが、俺は知らないふりをした。
ファンタジー
公開:24/04/18 21:43
更新:24/04/18 21:59

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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