むかしむかしの同窓会

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歯医者が長引いて、同窓会に遅れていた。
ホテルに入ったが、会場を探すのに手間取る。
「こっちこっち」僕は、袖を引っ張られるまま会場へ。

会場を見回すが知った顔がない。
僕の袖を引っ張った男性の顔も覚えがない。
「あいつら今でも人気あるよな。CMにも三人で出演してるし」
「えっ、CM?」彼が指差す方向をみる。
「ほら、桃太郎、浦島太郎、金太郎だよ。うわ、かぐや姫も乙姫も。かっこいい奴は得だよな」

「ほら、あっちみてみろよ。あいつらも、なんだかんだ、漫画、アニメ、映画、幅広く活躍して、名脇役だもんな」
鬼たちがいる。高級なスーツ、腕時計を身につけている。

「俺なんかさあ、昔ばなし以外、声がかからないんだよ。お前もだろ」
会った時から右側にいたので気づかなかったが、彼の右頬がふくらんでいる。
そして、私は親知らずを抜歯したので左頬がはれていた。
どうやら、僕は昔話の同窓会にいるらしい。
ファンタジー
公開:24/04/18 16:17
更新:24/04/18 17:19

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです!

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