ワンペア

閉園間際の遊園地。一枚余った乗り物券の処分を迷っていると、料金案内とにらめっこする女性が目に入った。
いずこも同じか。手元に残る一枚に親近感を覚え、声を掛ける。
「すみません。良かったら」
「この券使ってもらえますか？」
考える事も一緒だな。二人して笑う。
回数式の乗り物券は配分が難しい。一枚単位で購入できず、遊具ごとに消費枚数が違うため、組み合わせをしくじると余らせてしまう。捨てるに惜しく、お目当ての遊具には足りず、追加で新しい券を買う羽目になる。
「昔から計算が苦手で。親に無駄遣いを叱られました」
「私もです。ぴったり使えた時の達成感は格別ですよね」

ひとしきり盛り上がる間に閉園時間が来た。
「無駄にした一枚は今度奢らせて下さい」
「次は二人で回りましょうか」
互いの乗り物券に連絡先を書き、交換しようと差し出して気付く。
一枚ずつだった券は、ミシン目がくっ付いて二枚綴りになっていた。