有援地

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展示場の建物が老朽化し、今月中に壊されることになった。展示物の大半は引取先も決まり、それらは胸を張り喜々として建物から出て行ってしまった。
取り残された物達は、年代も不明な古く汚れた物ばかりだ。
それに展示されずに、段ボール箱に詰められたままの物もあった。
夜中段ボール箱の中では話し合いが行われ、建物と一緒に我々は処分されてしまう。その前に皆で一緒に此処から逃げ出そう、そうと決まれば今夜決行だ。段ボール箱は床をすり足で外に出て、空港へ行く予定のトラックの荷台に急いで飛び乗った。
数日後一台のトラックが展示場に来たので、取り残されていた物達は震えた。
直に綺麗な段ボール箱から皆を迎えに来たよと、声を掛けら今度はびっくりした。
実は空港で別のトラックに出会い、ついて行くとそこは壊れた物を直し、汚れた物を綺麗にし、諦めていた物達へ新しい引取先を探してくれる有援地だったんだ。
建物だけが残った。
ファンタジー
公開:24/04/18 12:16

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