0
2

 知り合いの魔女から、椿の花で作られた鎧が届いた。勿論、実際に着るものではない。彼女はアートとして、これを作っている。
 魔女だからといって、魔法に関わる仕事に従事しているとは限らない。魔法の力を使って、他の仕事をしている人も多くいる。
 鎧を届けてくれた彼女は、椿の花を使ったアートを続々と発表して注目されている。
 繊細な椿の花を細い糸で繋ぎ合わせて、服や動物を作り出す。魔法を使うのは、椿の花が永遠に萎れないようにする、その部分だけ。後は、全て手作りであり、そこにこそ、彼女のアートの神髄がある。
 感想が欲しいと言われて、私は一晩考えた。鎧の造形は日本のものだった。私は椿の花を撒き散らしながら戦う、一人の女武者を想像した。気付くと、感想の代わりに刃を振るう椿の女武者を描いていた。
 感想の代わりに描いた絵をメールで送ると、アンタらしいねという返事が届いた。
ファンタジー
公開:24/04/18 07:23
春の季語

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容