絶望遊園地

8
6

「絶望遊園地」それは、今の僕にぴったりの場所だと思った。
 どこが絶望なのだろうか。ジェットコースターに乗ってみる。加速して宙返りの後、何と、下り坂でレールが途切れていた。後ろから悲鳴が……
 コースターは空中を飛び、先にあるレールに着地した。
 次にバンジージャンプに挑戦した。落ちた先には口を開けたワニがいた。ワニの口の手前ギリギリでゴムが伸びきって引き上げられる。 
 最後にお化け屋敷だ。魑魅魍魎が血をべったりとまとわりつく。しかし、人生に絶望した僕には怖いものなどない。その時……。
 白い着物の女性が手を掴んできた。それは亡くなった恋人にそっくりだった。そして、優しく出口まで誘導してくれた。
 懐かしさで元気をもらった気がした。出口で係の女性に礼を言う。
「お化け屋敷が良かったです。絶望の向こうに希望が見えた気がして」
 女性は怪訝な顔をした。
「当園にはお化け屋敷はございません」
ホラー
公開:24/04/18 01:42
更新:24/04/18 01:47
プチコン5~遊園地

吉村うにうに( 埼玉県 )

はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容