パンの耳
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僕は食パンの耳です。そう、あの周囲を囲ってる額縁みたいな、そうあれです。
僕は食べられる為に生まれて来たんだけど、何故だか邪魔者扱いを受けている、そんな気がしてなりません。
「どうせ捨てられるんだし」
「ただの焦げ目やん」
「硬いの嫌い!」
「そこだけ集めて油で揚げるなんて残飯処理っぽくない?」
みんなの心無い声が耳に突き刺さる。
だけどあの子だけは、僕を敢えて選んで食べてくれる。そんな彼女に一度だけ僕は質問してみた。
「どうして僕を食べてくれるの?」
「パンの耳さんをたくさん食べると、耳が聞こえるようになるってママが言ってたから。だけど、カリカリしてて、美味しいの!大好き!」
僕は初めて、パンの耳である事に自信が持てた。あの子の『耳』にはなれない。だけど、あの子の耳が聞こえるまで、彼女のお腹を満たす、パンの『耳』であり続けよう、そう心に誓った。
僕は食べられる為に生まれて来たんだけど、何故だか邪魔者扱いを受けている、そんな気がしてなりません。
「どうせ捨てられるんだし」
「ただの焦げ目やん」
「硬いの嫌い!」
「そこだけ集めて油で揚げるなんて残飯処理っぽくない?」
みんなの心無い声が耳に突き刺さる。
だけどあの子だけは、僕を敢えて選んで食べてくれる。そんな彼女に一度だけ僕は質問してみた。
「どうして僕を食べてくれるの?」
「パンの耳さんをたくさん食べると、耳が聞こえるようになるってママが言ってたから。だけど、カリカリしてて、美味しいの!大好き!」
僕は初めて、パンの耳である事に自信が持てた。あの子の『耳』にはなれない。だけど、あの子の耳が聞こえるまで、彼女のお腹を満たす、パンの『耳』であり続けよう、そう心に誓った。
ファンタジー
公開:24/04/19 15:15
更新:24/04/19 15:20
更新:24/04/19 15:20
作家を目指すしがない中年サラリーマンです。ショートショートはとても苦手なので敢えてこちらで挑戦しようと登録しました!
よろしくお願いします
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