思い出の遊園地

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一ヶ月後に近くの遊園地が閉園する事になった。
幼少時よりの思い出の場所だけに、無性に懐かしく閉園前に何度か訪ねて観ようと思った。
閉園4週間前:私は何故か小学生に戻っていた。入り口のおばさんが又来たのね。気をつけて楽しく遊んでいってね、と笑った。
3週間前:行くと私は大きくなり彼女と一緒だった。入り口のおばさんも随分歳を取ったな~と思ったが、全然私には気づかない様子だ。
2週間前:一人息子を連れての家族三人での入園だった。あれも乗りたい、これも乗りたい、お化け館にも入りたいと大騒ぎして喜ぶ息子に、我が身を観る思いがした。
1週間前:ベンチに座り込んだ私は手に杖を持ち、遠き昔の思い出に耽っている。一陣の風に桜の花びらが頬に掛かった。
当日:いつまで寝ているの、早く起きてよ、と妻の金切り声とほのかなコーヒーの香りで目が覚める。
全て夢だったんだ。
今は平凡な日々が続いている、これで良いのだ!
ファンタジー
公開:24/04/19 13:21

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