天使探し

真子は、今年4歳になる女の子だ。3歳の時にテレビで見た「天使特集」という特番を見てから天使に夢中で、保育園や家族でよく行く公園など様々な場所で「天使探し」をしている。
今日は家族揃って公園に遊びに来ているようだ。公園に着くと、真子はまず近くの滑り台の中を確認する。大きなアスレチック遊具もグングン上り天使が居るか確かめる。次に、真子は公園内の草木をめがけ走り出す。すき間の一つ一つを丁寧に見回り終わると「帰ろうか」と母が手を差し伸べ微笑むまでがセットだ。
公園からの帰り道、真子はふと空を見上げた。そして叫ぶ。「天使だ！」
驚く両親に真子は説明する。「あのおっきな雲がお城になってて、さっきすき間からこっち見てた！」
両親は顔を見合わせ、ふふっと笑いあう。
「そっかあ、良かったね」「うん！」そう話しながら、親子は手を繋いで歩いていく。その背を、小さな天使が、大きな入道雲のお城の窓から見守っていた。