バリアフリー・パーク

炎上必至の遊園地がある。
それは実在の街を使った体験型アトラクションで、介護経験者や障碍者有志からなるＮＰＯ法人により運営されている。

招待枠に選出された参加者は、車椅子・白杖にアイマスク・高齢者体験スーツなど各種ライドやアイテムを装着し街歩きを行う。体験者の相互補助や、同行介助者への応援要請は可能だが、原則途中棄権はできない。
傾斜のきつ過ぎるスロープ。狭い通路に張り出した手すり。音の小さい環境配慮型ブザー。識別困難なユニバーサルデザインに塗料で描かれた点字ブロック。これらバリアフリーをうたった『アトラクション』を体験して、参加者は一様に驚き、あるいは蒼褪める。
デザイン設計会社、運用施設の責任者、当街の行政職員。己の無理解や認識のずれがバリアを深めている現実を突き付けられるからだ。

刺激的な遊園地でも、攻略が必要なアトラクションでもない。
必要なのは、誰もが住み良い平穏な街なのだ。