廃校小学校

山村の廃校小学校が取り壊される前に、見学会が催されるとの事で応募した。
当日集まると、儂ゃここの卒業生ですわと名乗る高齢者もいて、大賑わいであった。
それに他府県から応募した見学希望者もあり、各班毎に分かれぞろぞろと案内人の後ろに続いた。
当然ながら校舎を始め、教室の机も腰掛けも、下駄箱も渡り廊下も階段も皆木造つくりで、今思えば何と温かみのあることか。
教室の名前も松・竹・梅・藤等で入り口に、昔の標識がそのまま掲げられている。
音楽室には足ぶみ式オルガンが置いてあり、壁には定番の高名な作曲家達の肖像画が飾ってある。当時はピアノなんてとても贅沢でオルガンが楽器の大将だった。

校庭に出てみようと、出口へ向かうと騒がしい。何事かと見れば先程音楽室に飾られていた肖像画から抜け出したのか、モーツアルトやバッハ、ベートーヴェン等が、校舎が壊される前に逃げ出さなければと、慌てて裸足のまま走り去った。