遊園地

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君を遊園地に誘ったのが失敗だったのかもしれない。
「一度でいいから、君と遊園地に行きたいなぁ」
「いいよ」
まさかの返事が返ってきた。
そして、君に連れられてきた遊園地。君の写真を撮ろうと僕はスマホを取り出した。
「没収」
彼女はデート中にスマホなんて出しちゃダメと言った。
身長制限をクリアした君と乗ったジェットコースターでは、空を切る風と共に急降下するスリルを味わい、その速さに息を呑むほどだった。
メリーゴーランドでは、彩り鮮やかな馬が旋律を奏でる音楽に合わせて宙を舞い、軽やかに踊り、幻想的だった。
子供の頃に戻って、色々なアトラクションを楽しんだ。でも、君の写真を撮れなかったのは心残りだった。
「もう私のことは忘れて、素敵な彼女を見つけてね」
そう言った彼女は、遊園地と共に消えた。
目を開けると僕が遊園地に誘った場所…君のお墓が目の前にあった。その上に僕のスマホが乗っていた。
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公開:24/04/16 15:33
更新:24/04/16 15:48

氷堂出雲( 島根県 )

詳しくは
https://lit.link/HyodoIzumo

・ソニーミュージックのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。
・第20回光文社ショートショートYomeba!で優秀作
・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年)
・ショートショートnote杯GetNaviWeb賞受賞。
・第21回島根県民文化祭文芸公募 散文の部銀賞。

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