まわれ、コーヒーカップ

6
6

園内でコーヒーを買うと半額でコーヒーカップに乗れるという。子供の頃は好きだったけど、今は酔ってしまいそうだ。
「せっかくだもの、乗りましょうよ」
カプチーノ色のカップに乗り込みながら、妻が言った。
「あまり回すなよ」
ブザーがしてゆっくりと回り出した。
「触れそうよ」
中央のポットからコーヒーがシャワーの様に注がれる。もちろん、映像なのは分かっているけど僕は思わず身をすくめた。
「当たり前だけど熱くないわね。あら?」
「いい香りだな」
 コーヒーカップが回るたびにアロマが広がった。気づけば周りのカップはすごい勢いで回っている。
「二度、美味しいって事ね」
「おい、待てよ」
 焦る僕をよそに妻はカップを加速させた。
「ねえ、ミルクの香りもしない? そっか、カプチーノのなんだ」
 くるくると僕らを乗せてカプチーノは回る。
「大丈夫?」
「このままじゃ、ドリップどころかドロップ寸前だよ」
青春
公開:24/04/16 14:17
更新:24/04/16 14:20
プチコン5遊園地

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容