削るカモメ

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崖の下は荒れた海だった。
一歩進む。
仕事で失敗してパートナーを裏切った。
家族も友人も去っていった。
人生終わりだ。
もう一歩進もうとした時、岸壁に白いものが見えた。
カモメが崖をくちばしで削っている。
「何してるんだ?」
カモメがこちらを見て答えた。
「ここに宝物があるそうなんです」
「え?本当かわからないのに、よくやるよ」
「私、夕方ねぐらに帰るんですが、朝来ると少し掘り進んでいることがあるので、誰かが手伝ってくれているようです」
話をしながらも、カモメはコツコツと削っていた。
俺ももう少しだけコツコツやってみろってことか?
ダジャレかよ。
苦笑した時、スマホが鳴った。
「おい、噂を聞いたよ、大変だったな。今どこ?ちょっと話さないか?」
以前の仕事仲間だ。彼も損害を被ったのに。
俺もコツコツやっていけば、誰かが助けてくれるのか?
涙が出てきた。
「ありがとう、話を聞いてくれよ」
その他
公開:24/04/17 21:31

kao

ショートショート、はじめました

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