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麗らかな春、田舎で若者が働いている。若者は「私はとある集落で暮らしている小作人だ。今は裕福ではないが、毎日銀貨1枚分の稼ぎができているだけましさ。」と笑いながら話していた。
月末がやってきた。汗水流して稼いだお金を取られるので若者にとっては面白くない。しかしそんな事情もお構いなく役人がやってきた。役人は「稼ぎの2割を貢げ!」と脅してきた。若者は渋々銀貨4枚分の小麦を役人に渡した。
若者はたいそう悲しんだ。「こんな稼ぎじゃいい家もいい馬車もかえないし、いい奥さんに出会えない。」と。そんな若者に吟遊詩人がやってきた。吟遊詩人は「議会で集めた小麦を使ってパンを作り、貧しき人に与える法案が通りました!」と言った。
若者は吟遊詩人の言うことを疑って取りあえず1年間働いた。しかし暮らしは豊かにならない。そこで若者は地主に逆らって無職になった。結局若者は死ななかった。所詮若者は世間体の奴隷だったのだ。
SF
公開:24/04/15 13:23
更新:24/04/15 13:25
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オリーブ元老院 アキヒロ執政官( 茨城県南部 )

創作活動をしています。
ショートショートの不思議道具を長編漫画にする企画を考えています。

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