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たゆたうように深く眠りの底に沈む。気づけば私は大きな橋の前にたたずんでいた。
橋のたもとには一人の子供が立っていたが、私を見るなり、あわてた様子で騒ぎ立てた。
「なんの間違いか、貴殿は別の橋に送られてきました。あと五分で受付が終わりますから、急いで指定場所へ行ってください」
子供があまりにも必死なので、意味がわからなくても従わざるを得ない。
「どっちに行けばいい?」
「西に向かったら突き当たりを東に曲がり、北を背にしながら南です」
「ええと、西に向かったら?」
道順を確かめていると、軽快なメロディーが鳴り響いた。
『ご来場のお客様に迷子のお知らせをいたします。赤いゴルフシャツに紺色のズボンをお召しになった佐藤さま……』
まさか四十にもなって迷子放送で呼ばれることになるとは。私は恥ずかしさのあまり、全身全霊をかけて走った。
そうして生き返ったわけだが、橋を見ると西に行きたくなる癖が抜けない。
橋のたもとには一人の子供が立っていたが、私を見るなり、あわてた様子で騒ぎ立てた。
「なんの間違いか、貴殿は別の橋に送られてきました。あと五分で受付が終わりますから、急いで指定場所へ行ってください」
子供があまりにも必死なので、意味がわからなくても従わざるを得ない。
「どっちに行けばいい?」
「西に向かったら突き当たりを東に曲がり、北を背にしながら南です」
「ええと、西に向かったら?」
道順を確かめていると、軽快なメロディーが鳴り響いた。
『ご来場のお客様に迷子のお知らせをいたします。赤いゴルフシャツに紺色のズボンをお召しになった佐藤さま……』
まさか四十にもなって迷子放送で呼ばれることになるとは。私は恥ずかしさのあまり、全身全霊をかけて走った。
そうして生き返ったわけだが、橋を見ると西に行きたくなる癖が抜けない。
ファンタジー
公開:24/04/15 04:04
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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