天使とメリーゴーランド

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目を閉じる。さようなら、この世界。小さな天使たち、来てくれたの? 私を天国へ連れて行ってくれるの? 苦しみから解き放たれて軽くなった私の体は昇っていく。光のパウダーが降り注ぐ。優しい音楽が流れる中を上下しながらまわるメリーゴーランドが見える。一番大きなお馬に乗り、手を振る。天使たちに囲まれ、いつの間にか翼の生えた馬に乗ったまま、私は天空へ上がっていく。眩い光のシャワーを浴びながら。

「おーい、メリーゴーランドの清掃まだ終わらないか。あと15分で開園だぞ」
主任の声だ。
ああ、せっかくいいところだったのに。
「はい、大丈夫です」
私は空想の世界から現実に戻る。お馬さんたちを磨き、床にモップをかけ、夢の世界の準備をする。今日も子どもたちが私の大事なお馬さんたちに乗りに来る。
胸の名札にはメリーゴーランドの絵と「おうまさんのかかり」の文字。さあ、今日も1日天使のような笑顔でお仕事頑張ろう。
その他
公開:24/04/14 18:31

ジャスミンティー

2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。

最近noteへの投稿も始めました。よろしかったら、そちらもご覧ください。エッセイ、短歌なども載せています。https://note.com/real_condor254 
 

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