遊園地の幽霊

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澄んだ朝に富士山がよく見えるように、私の部屋からは遊園地の幽霊が視える。
いわゆる霊感のあるなしに関係なく、その幽霊は視える人と視えない人がいるらしい。遊園地に特別な想いがある人が視えるのか。
だったら私は関係ない。私が生まれる遥か前に閉園になったそれは、当然行ったこともないのだ。両親はおろか祖父母さえ知らない。
幽霊は、今は防災公園となった緑の上に、今日も儚げに浮かんでいる。遊園地とはいえ幽霊なので、視えることは他人には黙っている。

毎朝、重い瞼をこすりながら眺めるそれは、今日は特別にぎやかだ。連休中なのだろう。
ふと、回転木馬に乗っている男性と目が合った。嬉しそうに、何周も何か叫んでいる。思わずつられて手を振った。と当然、遊園地の幽霊は砂糖が溶けるように消えてしまった。
彼は、遊園地ごと幽霊ではなくなってしまったのだ。応えたことをほんの少し後悔した。
ホラー
公開:24/04/14 17:48
更新:24/04/14 20:37
プチコン5~遊園地

二森 ちる

※再設定しました

二森 ちる (ふたもり ちる) と申します。投稿再開しました!

最近の受賞歴は

●第25回「創作童話・絵本・デジタル絵本コンテスト」創作童話部門(2024)
 岩崎書店賞「バスのまどから見えたのは」

●第4回「スマイル童話賞」(2024)
 入賞「ネコさまのいない世界なんて!」


二森 ちる➡童話・児童文学
鬼頭 ちる➡怪談・小説   で筆名を使い分けています。

Xは tilukitoh2_3
キジ白猫をこよなく愛しています。
 

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